子どもに任せる勇気
6月9日(月)
【終着駅 それは一体 どこですか】
お母さんが我が子を想う気持ち・・。
個人差はあるにしても子どもの成長とともに膨らんできますね。
「サッカーを始めたら、ボールが吸いついているように、ドリブルが上手で・・・。」
「バレエを始めたのですが、体の柔軟性もあるみたいで向いていると思うんです。」
「ピアノは、すぐに暗譜が出来て、好きみたいなので・・。」
一心で我が子を見続けていると、ふと気がつくと習い事がいくつもあり、子どもたちはお疲れムード。
当たり前ですが、子どもの体は一つだけ。
魔法使いでもなければ、スーパーマンでもありません。
幼稚園の頃。
サッカーやスイミングなど、身体作りも兼ねて社会性も身につけさせたいとの親の思いもあり、多くの子がスポーツ系の習い事に通い始めます。
初めは、そうだったのですが・・・。
お母さん方からの御相談で、非常に多いのが
「習い事のやめ時が分からなくて・・。」と、いうもの。
小学生も高学年に差し掛かろうとする頃、習い事の整理をし始めるご家庭が多くなります。
(そろそろ勉強モードに・・。)
(運動ばかりで大丈夫かしら?)
お母さんたちは、ソワソワし始めます。
しかし、長年に渡り見ていると、ここで2パターンに分かれてくるように思います。
①スポーツは、一旦お休みにする方。(もしくは、一つに絞るという方も含まれます)
②週に2日程は勉強にあてて、残りの日を上手にお母さんが調整されて、スポーツ系の習い事を継続させながら進む方。
①は、新しいリズムに慣れるのにしばらく時間を要しますが、子どもたちは元気に進んでいきます。
しかし、②はますますお疲れムードがグレードアップ。なぜなら、1週間びっしり予定が決められていて、自分で自由に組みたてながら進める時間のゆとりがありません。
勉強の宿題は、スポーツ系の習い事が終了してから取り組むしか時間がないのです。
体を動かしたあと、ご飯を食べて眠たさマックスになった時から、問題集を開き、宿題に・・。
時間もかかり、頭に入る量がいかばかりかと容易に判断出来ますね。
たまるのは知識ではなく疲労感だけ・という子が多くなるのも仕方がありません。
お母さんはよく、
「どうするか、自分の事なんだから自分で決めなさい!」と、声をかけています。
しかし、賢い子どもはお母さんが望む答えが分かっています。
「じゃあ、やっぱり両方頑張ってみる。」
こう返事をしてまた頑張り続ける子も少なくありません。
(この時点で、すでに自分の思いを伝えられなくなっている子もいます。)
高学年になったら・・などと、決まりがある訳ではありません。
時間的にいっぱいいっぱいのスケジュールでは、どちらも中途半端で、子どもは疲れだけを蓄積させています。
教室がある阪神間は、本当に教育熱心な地域です。
文教地区も多く、施設や環境も充実しています。
そして何より、お母様方の熱心さが充実している地域でもあります。
しかし、だからこそ本当の力をつけて欲しいと思っています。
生きていく上での知識や見聞は、難問の解きかたを教わることではなく、色々な経験を重ね、楽しく感じる中から自分のものへと変化していくはずです。
自分で考えていく時間は、必要な時間です。
自分で自分の目標に向かうための割り振りが出来る力を失敗しながら身につけるべきです。
勉強であっても、スポーツであっても・・・。
教室にきている子どもたちの中にも、雑学を本当にたくさん知っていてそれを分かりやすく面白く説明できる子どもが大勢います。
その子たちに共通していることが、小さい頃公園で走りまわって遊んでいたり、もくもくと工作に没頭していたり、好きな本を好きなだけ時間を忘れて読んでいたりという経験が豊富なこと。
子どもというくくりではなくひとりの人間として、こんなこどもたちと話していると魅力的だといつも感じています。
良かれと思って、お母さんがスケジュール管理をしていると、本当に今後必要な力が備わらずに大きくなっていってしまいます。
子どもたちは、自分で失敗しながら自分流の学習方法を見つけています。
終着駅がどこなのか・・・。
本当はお母さんだって答えられないのではないでしょうか。
まずは、子どもたちに任せる勇気を持って欲しいと思っています。
少し離れて・・・。
環境が整っていても、自分で使い方が分からなければ、何の意味も持ちません。
「どうなっているのかな・・。調べてみよう!」
こんな風に思えるのは、自由に考える時間があるからではないでしょうか・・。
大人が考える終着駅が執着駅にならないように、気をつけたいものですね。